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まにをか。花の中より、實のこがねの玉か見えて、いみじくきはやかに見えたるなど、あさ露にぬれたる櫻にも劣らず、杜鵑のよすがさへもへばにや、猶更にいべきにもあらず。

梨の花、世にすさまじく怪き物にて、目にちかく、はかなき文つけなどだにせず、愛敬くれたる人の顏など見ては、たひにいも、實にの色よりてあいなく見ゆるを、唐土にかぎりなき物にて、文にも作るなるを、さりもあるやうあらて、せめて見れば、花びらのはに、をかきにほひこ、心もなくつきためれ。楊貴妃、皇帝の禦使に逢ひて泣きける顏に似せて、梨花一枝春の雨を帶びたりなどいひたるは、ぼろけならじ思に、猶いみじうめでたき事は類あらじ覺えたり。

桐の花、紫に咲きたるはなほをかきを、葉のひろごり、さまうたてあれども、又他木どもひう言べきにあら

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